脳神経外科

脳神経外科とは?

脳、脊髄、そしてそれらから伸びる神経を扱う外科の専門分野です。頭痛、めまい、しびれ、麻痺など、様々な神経症状の原因を診断し、手術や薬物療法など適切な治療を行います。

症状

  • 激しい頭痛が続く
  • 原因不明のめまいが続く
  • 手足にしびれや麻痺がある
  • 言葉がうまく出てこない
  • 意識がもうろうとする
  • けいれん発作が起きた

主な疾患

脳腫瘍は脳内に異常な細胞が増殖することで形成される腫瘍です。脳腫瘍は脳の細胞や神経・脳を包む膜から発生する原発性脳腫瘍と、肺がんや乳がんなど他の部位からがん細胞が脳に転移する転移性脳腫瘍と大きく2つに分けられます。

原発性脳腫瘍は、さらに良性の脳腫瘍と悪性の腫瘍に分類されます。

脳腫瘍には他のがんのようにTNM分類やステージ分類といったものはありませんが、そのかわり悪性度(グレード)が1から4までに分類されています。良性腫瘍のほとんどはグレードが1で、代表的なものとして髄膜腫(ずいまくしゅ)・下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)・神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)があります。これらの良性脳腫瘍のほとんどは手術ですべて摘出すれば再発はまれですが、わずかな残存組織から腫瘍が再発することがあります。一方グレードが2から4のものは悪性の脳腫瘍で、手足の動きや言語などの機能を温存して手術でできるだけ摘出し、放射線治療や化学療法を行います。

主な症状は、手足や顔半分のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、言葉が出ない、人の話が理解できない、ふらつく・歩けない、力はあるが立てない、視野が欠ける、物が二重に見えるなどです。

(主な検査)頭部CT・頭部MRI・脳血管造影

脳血管障害には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。

脳に血液を送る血管にトラブルが起こり、脳の一部がダメージを受ける病気の総称です。その血管異常が急激な変化を起こして「血管が詰まる」、あるいは「血管が避ける」病態を脳卒中と呼びます。脳卒中は、悪性新生物、心疾患、老衰に次ぐ日本人の死亡原因の第4番目に位置しており、寝たきりの原因として最も多い疾患です。高齢化社会や生活習慣病の増加により、その患者数は増加しており、その治療や予防が大事になっています。

脳梗塞

脳梗塞は動脈瘤が閉塞することにより血流が途絶して脳組織が壊死に陥る病気です。主な治療には薬物治療とリハビリテーションがあります。また、再発を予防するために手術をすることもあります。脳梗塞には動脈硬化が原因の一つで首や脳の比較的太い動脈にたまったアテロームのせいで動脈が細くなったり詰まったりするアテローム血栓性脳梗塞、脳の細い血管が詰まることによるラクナ梗塞、不整脈が原因で心臓の中にできた血栓が脳の血管に運ばれ血栓が詰まってしまう心原性脳梗塞があります。

(症状)片方の手足が動かしづらい・片方の手足のしびれ・しゃべりづらい(舌がもつれる、言葉が出てこない)・片側から呼びかけられても気づかない・失神
(主な検査)頭部MRI・頭部CT・頸動脈超音波検査・心電図(ホルター心電図)・心臓超音波検査・血液検査

脳出血

何らかの原因により、脳の血管が破れて脳の中に出血を起こす病気です。出血でできた血のかたまりが脳を圧迫したり、脳にむくみが起こったりして脳の機能が傷害されます。出血量が多い場合には生命に危険が及ぶこともあります。主な原因は高血圧ですが糖尿病や喫煙なども関係しています。

(症状)頭痛・吐き気・嘔吐・片方の手足の麻痺・片方の手足のしびれ・しゃべりづらさ・歩きづらさ・めまい
(主な検査)頭部CT・頭部MRI

くも膜下出血

主に脳の表面にある血管が破裂して、くも膜と脳の隙間に出血が起こ る脳卒中。外傷性くも膜下出血は頭部のけがが原因で脳を包んでいる「くも膜」の内側に出血が広がった状態。

(症状)突然の激しい頭痛(突然バットで殴られたような痛みと表現される)・吐き気・嘔吐・意識がもうろうとする・意識を失う・麻痺などの症状を起こすことは少ない・比較的症状が軽い場合もある
(主な検査)身体診察・眼底検査・髄液検査・頭部CT・造影CT